いそのカツオをブッ殺せ! O's Pageバックナンバー月刊文文掲示板前作品次作品

不協和音

 あなたはいつも愛してる 僕がどこにいても 遠く離れてても 十時十分に僕が食器を割った時 君も十時十分に食器を割ったという

 色と音と光を発してるわ それで共鳴してるの

 あなたはいつも愛してる 僕がどこにいても 遠く離れてても 子供の頃 給食の時間にカレーの匂いがした その日の給食はカレーじゃなかったのに 家に帰って母に話すと 母が あら 私 お昼にカレー食べたわよ

 たとえ血は繋がってなくても 色と音と光を発してるわ それで共鳴してるの

 あなたは言った 愛って超能力なのね 僕は言った 最も美しい和音は不協和音で造られるらしいよ

 靴紐を結ぶ事さえも 不協和音で光ってる 和音を求めて 光ってる たとえ遠く離れてても

 聞こえてるだろ? この音を この色を 知ってるだろ? 光を

 愛してるわ きっと 生まれる前から 色と音と光を 発してたのよ 共鳴してたの

 共鳴してた 十時十分に 僕が死んだ時 遠く離れた彼女は 割れた

 朝が来た時

 私は叫んだ

 不協和音みたいな 悲鳴で

 遠く ずっと 遠く 遠くまで

矢萩純一(2003.8.9)


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いそのカツオをブッ殺せ! Copyright(C) 2003 矢萩純一
題字: 矢萩純一
デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部