＃

授業中　僕はよく寝てた　だって学校のチャイムなんて欠伸　でもたまには起きて机に落書きしていた　だって　僕等のチャイムは＃　今またここに描き殴る

僕は教室の窓から飛び下りる

文字は紙を突き破る

すると、
太陽の真下に柱が立ってる
その下に子供が二人
「よし、こっち来い」
池の向こう側には父と母
ベンチには男二人に女一人
赤いシャツを着た男が缶コーヒーを飲む
落ち葉の上を歩いていく虫
「ほら、あれも、あれも、あれも！」
今、子供が二本足で立ち上がった
一番最初に拍手したのは子供自身
夫婦が子供に拍手する
ハイハイする子供
よろりと、よろよろ立ち上がる
ズボンの隙間からはみ出したオシメ
夫が手を叩いて子供を呼ぶ
抱き抱えられる子供
抱き抱え、立ち上がる父
よろよろと歩く子供に合わせて母が言う
「よいしょ、よいしょ」
水面が柱に揺れて光ってる
太陽を見て
僕等を見る
皆々
太陽だ
ほら、あれも、あれも、あれも！、

金色の微笑

頬に

キス

正十字と逆十字を逆さまにシックスナインさせた＃は１１＝＋＝１１に一筋の金色の涙を伝わらせ、１１＝＋＝１１を１１≠＋＝１１にした。いキたいのキだけ片仮名なのは、鳥が鳥を生んでいるのではなく、飛翔を生んでイルように、星が星を生んでいるのではなく、輝きを生んでイルように、花が花を生んでいるのではなく、美しさを生んでイルように、ズレて、要るから。神もまた目薬無しでは涙を流せなくなる日がやって来るけど、目薬もまた涙と同じもので出来ている、
涙。
色とりどりのエアバックのお花畑の花壇の上に、大の字になっている僕は、目を覚まし、仰向けになったまま、目を開ける。教室の窓から僕を見下ろしている教師達や友達達。僕の真っ赤な血の涙を見て、自分達の血が赤かったことを思い出して驚いてイル。その向こうには、太陽だけが光り輝いてイル、青い、
涙
１１≠＋＝１１の題名は、狂った星の狂喜の涙だと描き殴ろう、その文字は神を突き抜け、また新たな涙を生む事だろう。
翼が生えた＃のように

（2001.9.24）

いそのカツオをブッ殺せ！ Copyright(C) 2001 矢萩純一 題字／挿絵： 矢萩純一 デザイン： おぬま ゆういち 発行： O's Page編集部