いそのカツオをブッ殺せ! O's Pageバックナンバー月刊文文掲示板前作品次作品

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 王国が
 翼を羽撃かせ
 飛んでいく
 真赤に号泣している炎の翼で
 激しく燃え上がる歓喜の炎に内震えながら
 大笑いしながら
 ハリボテによく似た帝国の城に向かって
 内震えながら
 もんどり打って
 飛んでいく
 矢のように
 この喜びに打たれて死ねないのなら
 打ってやる、
 喜びの中、
 叫びの中、
 真っ赤になって打ってやる、
 そして炎の中から、蝶が飛ぶ、
 炎の蝶、
 帝国を灰にするつもりなんてなかった炎の蝶は
 飛ぶ
 飛んでいく
 飛んでいった
 炎の矢のように 

 次の日 目を開けると そこは地獄だった。苦痛の城をあとにする地獄の蝶の眩きの涙。
 光の海は涙の海。熱い草むらを歩くと 透明な羽を持つ蝶が 透き通りながら 光を放ち 飛んでいく ビニールの切れ端の 透明の 蝶。
 風に浮かび 花にとまり 咲いた 透明の 蝶。
 まるで逮捕される無垢の無苦。牢屋の小窓から空を見て目が焼け爛れ 失明。
 暗闇こそが無限の空 無垢の湿布の失笑で撲殺。
 王子は働き売った 涙も売った が 我々が買いたいのは糞と蜜だけだと 質屋は虫。 
 王子は魂と決闘。そしてまた痛みの館に投獄される苦痛の城の両腕と両足は 鎖を掛けられ 引き千切られる千の痛みと 目玉に突き刺さるアイスピック。耳たぶを引き千切るピアスのチェーンと魂の死骸をついばみ 引き裂く 烏の嘴。
 落ちろ 落ちて 数千の死骸に埋もれながら 真っ黒い空から降って来る剣で串刺しになる心臓。魂の肉の血の炎で炙られ 痛みの餌になる目玉と 巨人の足の裏を目撃したスプーン上の春の情死。血に染まり 雪だるま形式に膨らむピエロの憂鬱と 叫び続ける喉に生え続ける数千の牙。掻き毟られる羽の抱擁と、丸い炎の円柱を飲み込み続ける、数千の怒りと憎しみ、何度でも何度でも、喰い千切られ、引き千切られる、魂の肉の血の渦の中、何度でも何度でも、繰り返される、涙の痛みと、何千億光年も続いている、痛みの大地の、真っ血の涙の渦の中、真っ赤な蝶が飛ぶ
 真っ赤な血の蝶が
 飛ぶ
 真っ赤な血の羽。烏に喰われ 真赤な血が焼け爛れ焼け落ち 失明。暗闇こそが無限の空。鼓膜を突き破る汚物の唾液の 最後の希望は 死の沈黙。
 逆さ釣りにされて腐敗する魂は 市中引き回しの上 打ち首獄門にされる魂のうなじ。何千億光年も打たれ続けるが 今だに切れずに 血塗れの小便を垂れ流し続ける。
 死ねない地獄 地獄では死ねない 蝶が
 飛ぶ
 光の蝶。地獄の蝶。血の蝶をあとにする眩きの涙の蝶は 飛ぶ
 永遠に 蝶が 飛ぶ
 地獄

 次の日 電車に乗ろうとして ホームの上に降り立つと
 ついさっき 駅前の交番で道を尋ねてた 迷子の白痴が 電車の窓越しに 手を振っている −笑顔で− 
 そんな王国内で 子供の涎でドロドロになってたオシャブリを座席の下から拾い上げて −ありがとう− 
 そんな車内の小窓から 水色の空を見上げると 小さな小さな黄色い日溜まりの中で 水色のチョウチョが 遊んでた −楽しげに−
 そして 吊り革に掴まって 揺れている 君の黒い神の毛に
 −青い永遠が描かれた−黒い羽の蝶− が とまる

 秋の終わりに真赤に吠える金色
 赤と紫の鬩ぎ合い、叫び
 冬の青空、その命は短く、
 ほんの一瞬静かな微笑みを見せては消えてしまう
 長い夜に平伏してしまうその時を
 穏やかに迎えようと
 静かに両手を広げている秋の空
 昨日の夜長に少し照れて
 空はシャイに両手を広げている
 その照れた両腕のか細さに
 葉は赤面して、真っ赤っ々
 空、どうか夏の夜の様に狂わしく踊って、
 黄金の光で包んでおくれ、
 歓喜の炎を包んでおくれ、
 冬の朝顔の風に乗って、舞って、
 微笑んでおくれ
 繊細な花のように
 すぐに
 散って
 消え去ってしまう
 空
 消えるその時まで
 静かに
 微笑んで
 いて

 そんな冬空の下、隣人とすれ違う
 夜、夜中、朝、夜明け前、と、幾つものトンネルを一緒にくぐり抜けている、隣人
 冬空の下
 出会ってみると
 昨夜の慟哭は 嘘 
 夜長トンネルの縁取りに張りついた染みは
 いつの間にか、洗われ、流され、
 キラキラ、キラキラ、光の水を浴びている
 不思議に思って
 空を見上げると
 空は穏やかな水面
 空の水面は湖の様に地上を映し出し
 遠足の様に
 運動会の様に
 それらそれぞれ、
 そらそらソレソレ、と
 光る水しぶきの中
 跳ねている
 踊ってる
 はしゃいでる
 恐る恐るトンネルから抜け出ると
 そこには何も描かれてはいない
 空のシャワー
 光のシャワー
 空を一杯に浴びてはしゃいでる、子供達のはしゃぐ声、
 熱い、声、
 空とは、
 透明なる空に映る、
 熱いセックス、と
 映る

 百一個の透明コップを 疲れたウェイターが落とす 泣きじゃくってる木。道路の染みのように助けを求めて 両手を高く高く突き上げている街路樹。
 太陽光を浴びる為にネジくれヒン曲がってしまった茎の処せ術の危うさよりも 危うく美しい ありのままの姿の 光の水。(水の光)。)コップ( 。
 雑草が咲かせた 照れた花みたいな 象形文字が スーパーカブのひび割れた手の甲に 刻み込まれている 方向指示器の 点滅。
 戦艦ヤマトのような銀色の雲が ゴゴゴと逞しい音を立ててる朝。その後に続いて トビウオのような千のカモメ雲が 良く飛び跳ねてる 朝。
 透明なる空が映ってる水溜まりの中を ワールドカップの事を考えながら 売春しに行く黒い革ジャン。
 そんな事しちゃダメ! と 母親と父親を叱ってる 五才ぐらいの可愛い女の子。
 千年もの間路上に停められ続けた赤いフェアレディZを ガブッとシナッと出し抜いて ホテルを出る。
 雨上がりの夕立が見せた 虹の匂いのする 水色の空 新風の輝きを 見逃した 月夜のアバラ雲は歌う、真似する奴はシロートで、マネーを盗むのがクロートだって?、そうさ、その通りさ!、
 月夜のアバラ雲の下の 十円玉で開くチープドア。スリルチープな空き巣のチャップリンは 銭湯に行き タダ風呂。銭湯の浴槽のタイルと 隣で体を洗っているサンチョパンサみたいな 白痴。
 この世はあの世の神殿か?
 商店街の明かりがオレンジ色でとても綺麗。泡みたいに踊ってる。泡みたいにはしゃいでる。
 ドンキホーテの放浪者の家はベンチの上の遊園地。
 いつもの遊歩道に気高く暮らしてる。白い街灯に照らされてる。でっかいボストンバッグの上に乗ってる。髭モジャのギリシャ人みたいな顎。
 何者にもならないと誓ったあの日、幾日も幾日もコップを割り続けたあの日を、駆け抜けた、水も、光も、翼さえも、。 ))束の間の休日(( 。
 そのコップの
 輝き
 僕は
 割って
 笑った
 粉々に

 ある日の朝 眩いフラッシュの光の中で大の字になり 胃の中に舞い上がる 舞い下りる 朝を呑み込む 三日酔いの朝に来た 嘔吐の 天使の 蝶

 僕の望みはただ一つ、世界は美しい、と信じたい、意味が、動機が、有る、と 

 トイレでしか小便出来ない様に 初めて今日 日が差す 差し伸べられた少女の手のように 日が差す

 ガラスのクリームと並べられたコップのスプーンに
 水のように
 光のように
 映ってる
 答え
 だから有るとか無いとか騒がずに
 クールにシィーと積んでいく
 静かに
 そっと

 したたか過ぎるくらいの心、春を拒む冬の心、
 堅い心 石で出来た心
 でもバイオリンを美しく弾かれると、誰よりも先に、早く、
 涙ぐんでしまう、心
 しなやかになりたいとさえ願ってる、
 春

 詩が照れて
 ポリポリと可愛く
 四角い資格を掻く
 真っ赤っ々に照れたその角は
 ポロポロと崩れ落ちて  
 やがてまあるい涙目になる
 そのとき氏は初めて
 四角い資格の角が
 ただの視覚のせいだと気付く
 だからポリポリと詩を掻こう
 四角い視覚の角をポリポリと掻いて
 真っ赤っ々に充血した四角い資格の角を
 ポロリポロリと死角の中に崩し落としてしまおう
 ポロポロと
 詩を掻こう
 まあるい涙目の為に 

 するとするりと手からさらさら落ちたのは やがて火がつき 灰になる  
 赤くて、細くて、ささくれだった、ギリギリの魂は、ただ一つ、細く、地面に突き刺さり、バランスを取り、フラフラしながら、熱い、涙。
 滲んでいき 透明に浮かぶ もういいさ もういいさ 許されたさ するとするりと さらさらと
 きらきら光る
 砂の
 蝶

 ピラミッドの中 逆さまに埋葬された死体。掘り起こされ、
 掘り起こされる前の遠い記憶を 包み隠す。
 堀り起こされ、埋められ、飾られ、掘り起こされ、埋められ、飾られ、包み隠す。
 蝶々結び。
 遠い記憶は 遠い記憶の彼方 確かに、確かに、踊ってるから

 神殿なのか 湖の底なのか分からない往復便の椅子に座って 向かい合ってる二人
 片道キップしか買えない入れ物なんだから 血を出すまで引っ掻きたくなるのも無理はない
 箱の中に入れられても ここに来る前もやっぱり小さな箱の中なんだから 神殿を照らしてる小さな火や 湖の底に光る小さな空気の泡にしか 涙を流せないのも無理は無い
 フト、いつの間にかついていた その飛翔の涙を思い出し
 何か一言言うだろう
 優しい嘘つき、と言われたように、ね

 水中のような南風−車が車を通り越すような五月−それはつまり夕べの雨−きれいにひん曲がった青い花−赤い岩が女子高生みたいに憧れている−年老いた赤子のようなピンクの手が−君の帽子の中の手を−いやらしく握る−原チャリでひた走る僕の−チェックのガラのシャツは−退屈さと単調さを極め−肌から離れようと−時間を入れた−湖の底のような図書館だが−正確に誤算されたルーレット−中指の銀色ロケットミサイル−中々離れそうもない−

 眠れぬ夜 何度ダメだと思った事だろう 眠れぬ夜 何度イケると思った事だろう 眠れぬ夜 を 抱き 眠る
 猫の欠伸 

 言葉は石 詩は光 話は家 物語は城 キラキラ光る湖に放り込まれる言葉の誕生石 その水しぶきは 彼女のくるくる回る言葉その軒下に フカン出来ない その感じ そこでは 何も通用せず
 全てのみ その瞬間は 光輝く黄金の花びら。

 炎は雨に包まれ、初めて笑って、水遊び。

 水の公園。風だらけの銀の川。飛んでくカモメ。蛇口をひねって笑う子供達。アーケードの派手派手模様。右手首のない町のヌシ。月夜の残骸のアパート。毛並みの荒れた白い猫と交番のオマワリさん。ピカソとモディリアーニとヌイグルミ。僕は彼女と話をしながら手を繋いで歩いてた。目に見えるのは銭湯とコインランドリーと、夜に寄る夜。皆々赤い帽子を被ってるんだから 皆々サンタクロースさ。

 満月の夜 僕は電気をつけて寝る。月明かりが眩しいから 僕は電気をつけて寝る。
 丸い二つの輪っかの蛍光灯。それを見つめながら考えると 期待を裏切ってるなんて、心を裏切ってるなんて、しかもそれらの事を罪とも思ってないなんて、間違ってる、
 私を愛せ、自然を愛せ、これが義務だ、仕事だ、と うるさいくらいに、月は僕をたしなめる、
 だから、約束のその時を、自然の中に溶け込み、一つになる約束のその時を、
 アイスのように溶けて 一つになる その時を 僕は 愛すから
 月を隠す春の雲。
 春の暗雲。
 おやすみ 赤い目をした赤い夜。おやすみ 赤い目をした狼男。
 美しい月に向かって美しい和音で、
 ワォーーーン・・・

 夜を大切に
 夜明けを大切に
 とてもとても残酷なのだから
 君のうなじのバーコード
 色んな人が挑戦したけど
 大概の場合失敗してるんだ
 だからだから
 夜を大切に
 夜明けを大切に
 大事な人は、大事なモノは、ちょっとしかない、ほんのちょっとしか!
 夜明けの夜明けの 
 惨殺死体
 僕は女の子が眠った午前四時頃外に出て
 四時半頃、川にいた
 昨日の夜、彼女の言ってた、僕の行った事のない橋、
 熱い夜は冷え、白い静けさが朝を包んでた
 夜明けの時、僕は一人で川にいた
 コンクリートの土手、空を分けて走る高速道路の橋、水面と空の水平線を飛んでいく鳥 それらを見つめながら寝そべると
 小さな小さな硝子の破片が、幾つも幾つも、背中やケツに突き刺さった、
 チクチク、チカチカ、ヒリヒリと、空気でも塵でもないものが、
 頭の中の目と、まだ熱いレンズの内側で、揺れている、はしゃいでる、踊ってる、
 怒り狂って、
 猛り狂って、
 聳えている、
 聳え立っている、
 赤色と銀色を交じり合わせた、
 穏やかさの その 水色の向こう側に
 怒り狂って、猛り狂って、聳え立っている、
 真っ赤に真っ赤に、燃え上がりながら、聳え立っている、
 真っ赤に真っ赤に、号泣している、炎の喜びの涙で、
 ほら、
 細かい血のような、火のようなものが、
 チクチク、チカチカ、ヒリヒリ、目の中を、目の前を、舞ってる
 待ってる 
 彼女もきっと待ってる 
 僕は歌を歌った
 ゆらゆらと揺れている夜明けの前で、
 川の中で揺れてる夜明けの中で、
 歌った
 破片
 揺れながら
 輝く、
 肌色の朝日の中の、
 水色と銀色の、
 赤い、
 蝶
 その
 蝶が
 飛ぶ
 割れて
 笑って
 飛んで来た
 蝶
 どこから? 何の為に? は 知らずに ただ その 飛翔だけを信じて 飛んで来た 蝶
 頬に
 返る
 光で
 返る
 何もかも何もかも
 返る

 光の中 前から後ろから 真っ白い光が 僕を包み込む 体中の毛穴から 射精しまくってる 桃色の空気が体中に 何もかもに祝福されまくってる 世界中の人達に 皆に 愛されまくってる天使達に 体中を キスされまくってる 棕櫚の口づけの中の 甘い 優しい 熱い 傷跡に キス 広く広く 深く深く 高く高く どこまでも 躁さ キスされ キスして 愛され 愛して 叫び声にならない 甘い 優しい 熱い 叫び声の中の 日溜まりの中の 翼の中の キス 心の愛の涙の 翼の力強さ 真っ白い 真っ白い 光の翼みたいな 王国

 歩いた
 歩いた
 王国が一歩踏み出す度に
 蝶が飛んだ
 幾千もの
 天国への
 道
 真っ黒い服を着て 
 笑ってた
 黒点
 それは
 情熱の死骸
 消えた
 消え失せた
 頬を伝って流れ落ちる一筋の有色の涙のように
 蝶が飛んだ
 王国が一歩踏み出す度に
 蝶が飛んだ
 幾千もの
 天国への
 道
 葉は何億年も前からそこにいた
 僕は歓喜極まって
 葉にキス
 揺れた
 僕も揺れた
 笑った
 かつて僕は午前2時に鳴く烏に呼ばれ
 町に出て
 烏に襲われ
 町を出て
 烏に追われ急き立てられ
 歩いて
 歩いて
 春の野川に飛ぶ蝙蝠を見た
 川を辿り、山へ、海から来た僕は山へ、名の違う川と合流してUターン、町へ、町へ、
 海は何から生まれた? 涙 川の石の色の一つ一つが違う訳は?
 涙
 未来と過去がせり上げる
 今

 緑の音が 黄色の羽音が アスファルトの死が 聞こえる
 ピンク
 アスファルト色のプードルの舌はピンク 地球の子宮もピンク
 今にも落っこちて来そうな 僕の手が届きそうなくらいな太陽が
 今にも崩れ落ちてきそうな高い高い建物の窓で破裂してるんだけど 目に見えるのは 
 アスファルト色のプードルの髪飾りの花のピンク 猫の鼻の頭のピンク 鳩の足のピンク 性器のピンク 幼子の爪のピンク 
 安心しな つやつや滑らかだったのは 赤い油塗れのスゥエードだけだった
 でも アスファルトに落ちてる七つの星の吸殻は 白い 死骸でも フィルターの口紅のあとは ピンク そしてアスファルトに咲いている花びらは ピンクの 涙
 目に見えるのは ピンク色の日差しと 
 涙色の
 空
 焼けた 焼け落ちた 地面に咲く ピンク色の 涙 涙色の 空
 焼けた 焼け落ちた 冷えていく火傷と 花 
 涙色の
 空
 ピンク

 涙色の空の ピンクの 頬から 幾千もの ピンクの光が 降って 降って 吹き零れ エレファント色の宇宙には 幾千もの ピンクの 星々 風にノッて 舞い上がり 空に咲いた ピンクの涙 泣いて 笑って 咲き零れ 咲く ララ 桜 咲く ラララ咲いて 咲いて 咲き零れ 風に煽られ また舞い上がり 空に咲いた ピンクの 頬 泣いて 笑って 吹き零れ ハシッと掴み見ようとしたら 指と指の間を擦り抜け 風に煽られ 舞い上がり 空に咲いた ピンクの 涙 涙に 咲いて また

 真っ赤な涙が落ちてる ガラスのアスファルトの上で セヴンスターを箱ごと五本拾った時 神を感じた 一服すると 調和気分死で 調和出来るなんて 不思議 僕には 死が 必要だ

 私は分からないわ
 あなたが何を考えているのか
 あなたは午前八時から午後五時まで働いてベットに飛び込むの
 どこがいけないの?
 どうして何も話してくれないの?
 そんなに見つめたら天井に穴が開いちゃうわ
 ねえ 私の愛しい人
 人生に意味がなくてもこの一瞬には意味があると思うの
 ねえ 私の愛しい人
 あなたは午前八時から午後五時まで働いてベットに飛び込むの
 ねぇ 私の愛しい人
 人生に意味がなくてもこの一瞬には意味があると思うの
 ねぇ 私の愛しい人
 もう一回
 キスして 

 赤いカラスが 電線を五線に変えて 飛び上がる
 真っ赤なルビーは破裂して 伴奏者を思わず叫ばせる そうだ、やれ!、と叫ばせる
 かつて 白い鳥が夜に飛び 黄金色の飛路を残した様に
 真っ赤なカラスが
 更に更に更に、足す

 あー あー あー

 キス

 スキ

 キス

 僕には

 詩が

 必要だ 

 優しい風 優しい光 かつて 湖の上に浮かんでいた氷は溶けた 丸い肌 彼女の微笑み 今は 沈んだり 浮かんだり 水面から顔を出したりしてる 光 ピアノの階段を登って もう苦しまない もう憎しみなんて 悲しみなんて 知りたくない 電車に乗って 遠くに行こう 知らない川べりに二人で座ろう ほら ルーツのツールが踊ってる 鶴の求愛ダンスで 光の中 光を発して 歌って 回って 羽撃いてる 優しく そっと 千羽鶴みたいに 羽撃いてる 静かに そっと 優しく そっと 夕暮れには手を繋いで歩こうか? 苦しみなんて 悲しみなんて もうまっぴらごめん苦しみさん 悲しみさん そこに座ったらどう? まずは座ってみて こう思うの 私達は切っても切れない仲なのよ いいお友達でいましょうって 思うの あなたが教えてくれたのよ 笑っていましょうって 子供じゃないんだからって でも 大人でもないんだからって 僕等は 強いんだって ねえ 怒りに憎しみさん 私達は一人で生きていけるわ もう別れましょう 大した事じゃないわ よくある話よ 生きてさえいれば 生きてさえいれば ね よくある話 だからだから もういいでしょ? お別れしましょう いい? 位置について よーい ドン! さよなら! さよなら!さよなら! 柔らかな微笑みの日差しの中 太陽や空や風と 何もかもと 一つになった気分 丸い光や 優しい風と 一つになった気分 丸い光と 優しい風が 優しく そっと 撫でてくる 静かに そっと そっと 優しく キス スキ キス さようなら 苦しみさん バイバイ 一人よがりな憎しみさん バイバイ バイバイ 僕等は手を振るよ ハンカチなんか振ってるよ ニコニコしながら振ってるよ 光の中 光が 子供みたいに 笑ってる 子供みたいに はしゃいでる バイバイしながら ハイハイしながら 笑ってる はしゃいでる かつて氷の上で 激しく踊って 光ってたように 今は 静かに そっと そっと 優しく 微笑んでる さあ 僕等は 僕は 歩いていくよ 優しい 風の中 優しい 光の中 光で

 そこでは 罪も罰も悪も 何もかも 影すら 光っていた 金色の 洛陽の 光 
 呑むと
 かさぶたがとれる
 歳なのさ

 神の毛は 七三分け 海と陸 七三分け 喜びと悲しみ 七三分け? 喜びは 怒りに変わり 怒りは 悲しみに変わり 悲しみは 楽しさに・・ 楽しさを拒否する程の 悲しみ その頑な 可愛らしさ 好きにならずにいられない 悲しみ 喜び 美しさ アフロか 三つ編みか モヒカンか 逆モヒカンか でも 元々は ONEだから いずれは 禿 か ロマンスグレー そうさ 白黒ハッキリつけるなんていうけど ロマンの有る灰色は 光ってる 禿みたいに 天使の輪っかみたいに セピア色みたいに きらきらきらきら きらきら

 僕は君といたよ 君はまるでまろやかなスゥーイトスゥイングメロー 僕はその君の中でハーモニカを吹いてたよ そうさ まるでまろやかな ちょっと聞いてくれよ さっき君と別れたばかりなのに もう君と会いたいんだ ちょっと僕を見てごらん 僕の目には君しか映らないんだ こんな事言うと調子に乗る僕だけど 本当の事だから言いたくて言いたくて堪らないから言うよ 君は僕の夢なんだ そんな君の中で 僕はハーモニカを吹いていた そうさ まるでまろやかな これからも また一緒に聞きたいな 暖かな日差しが揺れていた 日溜まりみたいな ハーモニー そうさ きっと ずっと いつまでも 悲しみは見つめないで 悲しみなんて 喜びの影 悲しみは ただ 知っていればいいものなんだから 悲しみは見つめないで 私の愛しい人よ 目を閉じて 僕はあなただけを見つめていたい 喜びの中で踊ってる あなただけを あなたの瞳の中には僕が映ってる事だろう そうして きっと 僕の瞳の中にも映ってる あなただけを見つめていたい 僕等は喜びなんだから そうして そっと 唇を離すの 喜びの中に映ってるあなだけを見つめたくて そっと 唇を離すの でも いつの日か 口づけみたいに 目を閉じてしまうから その前に もう一度だけ 私の愛しい人よ 目を閉じて

 大地にキスする蝶のように

 胎内にいる赤ちゃんにモーツアルトを聞かせると胎教にいいと言うけど そのモーツアルトは 胎内にいる時 何を聞いてたの?生活の音 空爆の音 子守歌 雀の囀り 血 日差しの音 雪 鼓動

 真っ白い曇り空
 それはガバリと開け広げられた女の股だ
 その中には掃除婦がいる
 だから早いとこ早く、くるまって、
 血の匂いを嗅ぐ
 ああ、血の匂い・・

 子供ってキング、
 しかも天然、だから好き。
 まるで王様、まるっきり春の王。
 裸でもキング、衣装をキック!
 生きてる感じ、可愛いパワー。

 拾いに行かなきゃ

 詩を

 王国は今日も 翼を羽撃かせながら

 きらきら

 きらキラ

 キラキラ

矢萩純一(2004.12.10)

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いそのカツオをブッ殺せ! Copyright(C) 2004 矢萩純一
題字: 矢萩純一
デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部