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カッツ伊知郎の『極私的エーガ史。69-02』
第2回
スピルバーグが育てたもの。

 どうも。カッツ伊知郎です。変換機能が忘れるくらい久し振りに書いてます。しかし残念なお知らせがあります。この連載も2回目にして終了することになったのです。正確には第1回目で終わったわけですが。そうです。もう2002年なのです。という訳で!

 カッツ伊知郎の『極私的エーガ史。69-02』 装いも新たにスタート! という訳でおぬまさん、タイトル変更お願いします。

 本題に入ります。スピルバーグの続きです。って続くのかよ!(三村的ツッコミ) みんなもう忘れてるって・・・。

まずはスピルバーグの最新作の話。
マイノリティ・リポート』(原作:フィリップ・K・ディック、主演:トム・クルーズ)の撮影が終了し、詐欺師の自伝を基にした『Catch Me If You Can』(主演:レオナルド・ディカプリオ)の準備に入ったといわれています。
ほかにも『さゆり』『ビッグ・フィッシュ』おまけに『インディ・ジョーンズ4』の企画!も挙がっており、相変わらず忙しいようです。
 さて、今回はスピルバーグ印のスタッフたち、そこから巣立っていった人たちに焦点を当ててみます。
まずはホットな話題から。2002年正月映画最大の話題作『ハリー・ポッターと賢者の石』を監督しているクリス・コロンバス。(現在第2弾『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を制作中)
 彼が『グレムリン』を始め『グーニーズ』(監督は『リーサル・ウェポン』シリーズのリチャード・ドナー)や『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(監督は『バンディッツ』のバリー・レビンソン)のシナリオを担当していたことをご存知でしょうか。その後『ベビーシッター・アドベンチャー』(1987)で監督デビューし、『ホームアローン』(1990)『ミセス・ダウト』(1993)等の大ヒットを飛ばし、売れっ子監督になっています。
 その他の作品としては『9か月』(1995)『グッドナイト・ムーン』(1998)『アンドリューNDR114』(1999)などがあります。
次にロバート・ゼメキス。『1941』のシナリオを気に入ったスピルバーグはゼメキスの長編デビュー作『抱きしめたい』(1978)を初プロデュースしました。しかしゼメキスの名を一躍高めたのは、なんといっても『バック・トウ・ザ・フューチャー』シリーズでしょう。巧みなプロット、スピーディな展開、SFXを効果的に使った演出。主演のマイケル・J・フォックスと共にヒットメーカーの仲間入りをしたのでした。
 その後も『ロジャーラビット』『永遠に美しく』など、いわゆるスピルバーグ的娯楽作を作った後、『フォレスト・ガンプ 一期一会』(1994)でオスカー監督に。『コンタクト』(1997)『ホワット・ライズ・ビニース』(2000)『キャスト・アウェイ』(2000)など精力的に活動しています。その他の作品として『ユーズド・カー』(1980)『ロマンシング・ストーン』(1984)。
プロデュース最近作は『マトリックス』(1999)のジョエル・シルバーと共同設立したホラー映画専門プロダクション【ダークキャッスル・エンタテインメント】の第2弾『13 Ghosts』(2001)です。
 ジョー・ダンテはロジャー・コーマンの元で作った『ピラニア』(1978)や『ハウリング』(1981)のヒットで注目され『トワイライト・ゾーン/超次元の体験』の第3話の演出を担当。『グレムリン』シリーズ、『インナースペース』を監督しています。その他の作品として『エクスプローラーズ』(1985)『メイフィールドの怪人たち』(1989) 『マチネー 土曜の午後はキッスで始まる』(1993)など。どこかマンガチックで邪悪な、デフォルメの効いた世界観は『スモール・ソルジャーズ』(1998)でも健在でした。
 TV出身のミミ・レダーは『ER』での演出がスピルバーグに認められ、ドリームワークス第1弾『ピースメーカー』で監督デビュー。『ディープ・インパクト』や『ペイ・フォワード』(2000)など話題作を連発しています。
 他にスピルバーグの元で監督をした人を思いつくまま挙げると、トビ・フーパー、ジョン・ランディス、ジョージ・ミラー、リチャード・ベンジャミン、マイケル・アプテッド、マシュー・ロビンス、ヤン・デ・ボン、バリー・ソネンフェルド、マーティン・キャンベル、ジョー・ジョンストンなど、そうそうたるメンバー!(誰が何を担当したか、全部判る人はメールください。何か良いことがあるかも)
 もうひとつの側面として、スピルバーグは数々のTVシリーズ(世にも不思議なアメージング・ストーリー、シークエスト、ERシリーズなど)とアニメーション映画(アメリカ物語、リトルフットの大冒険など)を手がけ、様々な才能を世に送り出しています。そこにはやはり自身もユニバーサルのテレビ映画からキャリアをスタートさせたことが大きいように思われます。

 しかし2回にわたってスピルバーグ印の映画を取り上げておきながらひっくり返すようで申し訳ないですが、ぶっちゃけていうとスピルバーグ印の映画は結局スピルバーグ色が一番強く、それぞれの監督の個性がどこまで出ていたのかは疑問です。じゃあプロデュースじゃなくてスピルバーグ自身が監督すりゃいいじゃん!って声が聞こえてきそうですが、アメリカではユニオンの関係で年間に監督できる本数が決められていて、撮りたくても物理的に撮れないそうです。そう考えると作品によってはスピルバーグが演出に口を出していてもおかしくないのではないでしょうか。(実際ノンクレジットで編集や第2班監督をやっている作品があるそうです)
 その後のキャリアを見てもいかにスピルバーグ的なものから自分の持ち味に転換できたかが、それぞれの監督の分かれ道になっていると思います。
 やはり自分自身を出すことが大事、ということでしょうか。

 今回はここまで。次回は好きなプロデューサーについて書こうと思っています。

【おまけ】

今回の原稿を書くときに参考にしたのがCinemaScape−映画批評空間−というHP。
ここはおすすめ映画の批評や様々な検索が出来る大変便利なページです。
例えば制作国からの検索や、似た名前の人が一覧で出てくるところなど面白い使い方が出来るようになっています。一度お試しあれ。

【追記】

この原稿をおぬまさんに送った直後に『インディ・ジョーンズ4』が正式に製作決定! もちろん主演:ハリソン・フォード、監督:スピルバーグです。
さらに第2次世界大戦中、日本軍捕虜収容所でのアメリカ兵の生活を描いたノンフィクション『Ghost Soldiers』の映画化(主演はまたもやトム・クルーズ)も発表されました。これによって『さゆり』の監督からは正式に降板し、プロデュースに専念する模様です。
4月には『E.T.20周年アニバーサリー特別篇』の上映もありまして、、、
まだまだスピルバーグからは目が離せないぞ! 

TO BE CONTINUED・・・→

カッツ伊知郎(2002.2.17)

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極私的エーガ史。69-02 Copyright(C) 2002 カッツ伊知郎
デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部