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キシタケ音楽四方山噺
 その4


『Peace And Love』
1989
The Pogues
 出掛けに新聞に目を通してたら、中田ヒデが今回のワールド・カップを最期に、日本代表入りを辞退するという記事が出ていた。 ・・・気分は一気にブルー。

 『アザーズ』を観に行ったのだけど、全然集中できなくて気もそぞろ。中田本人が決めた事に、外野がとやかく言う権利など何処にある。そうは思っても、厳しかったフランス大会予選のプレーの数々が、走馬灯の様に(苦笑)脳裏に浮かび・・・。これからもパルマでプレーするんだしさ、いいじゃないか。 映画の出来もナンだった。『ノーマンズ・ランド』にすれば良かった。このスペインの監督、前の『オープン・ユア・アイズ』も観たけど、ハッキリ言って苦手。

 夜の、ドイツ×アイルランド戦で少し持ち直す。サッカー・ファン的にはドイツなんだろうけど、音楽マニアの僕は、ポーグスを流しながらアイルランドの肩を持つ。キーンがロス・タイムに同点ゴール。素晴らしすぎるぜアイルランド、1勝2分で予選突破?
 ザ・ポーグス、実際にはアイルランド移民の2世達がロンドンで結成したバンドだけど、アイルランドの伝統音楽をパンクなスタイルで演奏した独特のサウンドは、U2以上に彼の地を魅力的に見せてくれた。80年代後半から、バンドの中心人物シェーンが抜ける90年代初めまで、人気もあったし本当にいいバンドでした。エルヴィス・コステロがプロデュースした2枚目、名曲「ニューヨークの夢」が入ったヒット作の3枚目は特に傑作。去年出た、曲の目一杯入ったベストもいい。ナイスなジャケは4枚目の『ピース・アンド・ラヴ』。 強いハート、目には輝き、唇にはユーモアと歌を、愛と平和のワン・ツー・パンチで、サウジアラビアをノック・アウトだぁ。
 過酷なツアーと成功によるプレッシャー、アルコール中毒もたたって心身共ボロボロになったシェーンは、確か91年の日本ツアーの後、メンバーからクビを言い渡される。その時のライヴ、演奏中でもフラフラと楽屋に引っ込んだり戻ってきたりのシェーンは、本当にヤバい感じだった。バンドもその後は、次第にフェード・アウトしていった。でもポーグスが生み出したスタイルは、後の世代のアイリッシュ達に確実に受け継がれてる。

 さて、寝る前に見たスポーツ・ニュースで中田ヒデが会見してた。「どこからそんな話が出て来たのか、全く分からない」 え゛ぇー。
 

キシタケ(2002.6.21)※執筆は6/7

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発行: O's Page編集部