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キシタケ音楽四方山噺
 その15

『DUSK』
『DUSK』
1993
The The
2000年に出た『ネイキッド・セルフ』以降、活動停止中なのか引退してしまったのか全く音沙汰の無かったザ・ザが、新曲の入ったベスト盤を出した。活動も再開するというし、大変喜ばしい。

マット・ジョンスンがどうして自身のロック・バンドにザ・ザ(The The)という(ふざけた)名前を付けたのか、寡聞にして知らないのだけど。20年に渡る活動を見渡してみても、ザ・ザはバンドの感じがほとんどしない。実体は、イギリス人のマット・ジョンスン(ヴォーカル&ギター)を核としたプロジェクト。アルバム毎に一人で全部やったり、何人かメンバーを入れたり。世界ツアーを行ったメンツでパーマネントに活動していくのかなと思えば、次のアルバムでは総とっかえしたり。出てくる音もキーボードを多様したものから、ホーン・セクションを加えたビッグ・サウンド、アコギを基調としたシンプルなものまでとかなりの振幅があるのだけど、毒をたっぷり含んだヴォーカルの説得力と強靭なサウンドが聞き手を強く揺さ振り続くけるという手応えは、どのアルバムも変わらない。 歌詞もシリアスで実にマジ。個人が抱えざるをえない葛藤、それの合わせ鏡のように存在する社会の矛盾や欺瞞。それを極めて率直に語っていく。

1993年の確か頭に出た『ダスク』"黄昏"は、最も個人の内的宇宙に向かったアルバム。丁度、通ってた学校で映像制作に本腰を入れ始めた頃で、それもあって印象深い。

1曲目の「真の幸福はこうして見い出される」から10曲目のラスト「孤独な惑星」まで、じっくりと聞き返す。終わりに出てくる「世界を変えられないのなら、自分自身を変えるがいい 自分自身を変えられないのなら、世界を変えるがいい」というリフレイン、今も重く胸に突き刺ささってくる。 深く考え込むことの多かった9月の半ば。
 

キシタケ(2002.11.24)※執筆は9/30

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デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部