その20 |
『Sign Of The Times』 1987 Prince |
弥壱郎「プリンスのライヴに行ったらしいじゃねーか、熊」 熊八「まぁね、ムフフフフ」 壱 「不気味な笑い方しやがる、大体なんだよ変質者みたいなその髭は」 熊「顎髭・プリンス仕様と呼んどくれ」 壱「誰も呼ばねーよ。チケット代で文無しになって、電気と水道が止まったらしいじゃねーか」 熊「またいい加減なことを、止まったのは電話だけ」 壱「止まってんじゃねーか。もう少し大人になれよ」 熊「プリンスのライヴだぜ壱さん、何をおいても駆けつけにゃあ」 壱「ご苦労なこったね。で、どうだったんだい」 熊「プリンスのライヴにハズレなし。バンドのメンバーは過去最高だったし、今までの中でも1、2を争うデキだったよ」 壱「ふーん、これまで何回来てんの?」 熊「まずパレード・ツアーで86年、ラヴセクシー・ツアー89年、ヌード・ツアー90年、ゴールド・エクスペリエンス・ツアーで96年。今回で5回目とくりゃあ」 壱「全部に行ってんだろ、4度も見りゃあ十分だろうに。奴さん札幌から福岡まで回ったらしいじゃねーか、CDはインディ・レーベルからだし、夏巡業のベンチャーズ状態か?」 熊「んなこと言ってたらプリキチに刺されるよ、マジに。殿下は日本の秋を堪能しに来られたんだよ」 壱「そう言ってな」 熊「内容が良けりゃあいいの。リキの入った演奏で、しょっぱなから飛ばす飛ばす。2曲目の『ポップ・ライフ』で思わず目頭が熱くなって」 壱「泣くなよ」 熊「ぐっとコラえる」 壱「エラい」 熊「次の『パープル・レイン』で泣いた」 壱「お前はアホか。それにしても3曲目で『パープル・レイン』か、懐メロ路線まっしぐら」 熊「スマキにして神田川に投げ込んだろか」 壱「ま、プリンスゆーたら、あと『ビートに抱かれて』と『キッス』しか知らんけど」 熊「残念でした、どっちも演ってない。新作以外だと80年代のアルバムの中の渋い曲中心で、これがイイんだ。『ストレンジ・リレイションシップ』や『クエスチョン・オブ・U』を演ってくれるし、『テイク・ミー・ウイズ・U』と『ラズベリー・ベレー』のメドレーも良かったし、『ガッタ・ブロークン・ハート・アゲイン』のスロー・ヴァージョンは鳥肌もんだったな」 壱「曲名言われても分かんねーって」 熊「いいんだよ、自己満足で言ってんだから。『1999』のアルバム で唯一やったのが『オール・ザ・クリティクス・ラヴ・U・イン・ニュー・ヨーク』やで、どーだまいったか。懐メロ・ショーちゃうで」 壱「一人で興奮してな。じゃあプリンスのアルバムはどれがいいんだい」 熊「よくぞ聞いてクレメルソン。全ていい、全て聞け」 壱「じゃあいい」 熊「冗談だよ。どれか一枚というのなら87年のコレ『サイン・オブ・ザタイムズ』。これを聞かずして何を聞く。モーむすばっか聞いてないで、これにハマってみなさい」 壱「大きなお世話だよ」 |
キシタケ(2002.11.30)※執筆は11/23
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