その21 |
『np3』 2002 Nils Petter Molvαr |
FMの番組からあのトランペットとサウンドが流れてきたので、ニルス・ペッターの新譜かな?と思ったら、やはりそうだった。3rdアルバムでタイトルが『np3』というのはシャレておりますね。 ノルウェーのジャズ・トランペッター、ニルス・ペッター・モルヴェルを知ったのは1998年に出て話題になった『Solid Ether』からだけど、テクノやドラムン・ベースなどのクラブ・ミュージックを取り込んだヘビーなファンク・サウンドと、ひたすらクールなトランペットの組み合わせは70年代のマイルズ・デイヴィスを ほうふつとさせるカッコよさ。メロディアスなペットのフレーズを散歩してる時によく口笛で吹いた。新作は前作で確立した音を踏襲したものになってるけど、カッチリと緩急をつけた展開になっていた前のに比べると随分ラフな流れ。ツアー中に録りためていたデモ・テープを繋げたという感じさえする。でも聞き込む程にヨイ、気に入ってます。 アル・パチーノ主演の映画『インソムニア』の冒頭シーン、軽飛行機が流氷の浮かぶ海辺(湖?)を飛行してて、『np3』のジャケットや音が浮かんできてピッタリとハマった。舞台はアラスカだったけど。殺人事件の捜査に協力するためにLAからやって来た刑事がパチーノ。一日中陽が沈まない土地で、自らが抱える問題に深く引き裂かれているその刑事が、次第に不眠症(インソムニア)に落ちいって精神のバランスを崩していく、そこに犯人がからんできて、という展開。疲れてたのか映画にハマったのか、中盤以降はパチーノみたく頭がホントに朦朧としてきて。 夜のシーンが全くないのが落ち着かない気分にさせるのだろうか。まさに正気と狂気の間というか、スクリーンからニルス・ペッターのトランペットが聞こえてきた。 帰ってから、ジャケットを眺めながらアルバムを聞く。遠い北の国に思いを馳せたワケではないけど。 |
キシタケ(2002.12.22)※執筆は12/9
キシタケ音楽四方山噺 Copyright(C) 2002 キシタケ デザイン: おぬま ゆういち 発行: O's Page編集部 |