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キシタケ音楽四方山噺
 その23

『HEJIRA』
『HEJIRA』
1976
Joni Mitchell
誰もが忙しがってる師走のこの頃、我れ関せずでジョニ・ミッチェルに浸ってます。大掃除で階段から落ち、腰をしこたま打って横になってるというのもあるのだけど(完璧にオヤジだ) 1976年の『逃避行』。原題『HEJIRA』もそういう意味らしいけど、タイトルからして痺れますな。

ヴォーカルとギターのジョニと、ベースの故ジャコ・パストリアスのデュオ・アルバムという気がずっとしていて、全9曲中ジャコが参加してるのは4曲なのだけど、衝撃的としか言いようがない音色のフレットレス・ベースとジョニのアクースティック・ギターとの交感は、それほどこのアルバムの印象を決定付けていると思う。タイトル曲が始まる瞬間は、いつ聞いてもゾクゾクしてくる。

60年代後半にフォーク・シンガーとしてデビューした彼女だけど、この頃にはジャズ・ミュージシャンをバックに起用したフォークともジャズとも勿論ロックとも違う、ジョニ・ミッチェル・ミュージックとしか形容できない音楽を確立している。明快にポップな曲があるわけでもない激シブのアルバムだから 、ジョニ未体験の人には『ブルー』(1971)か『ナイト・ライド・ホーム』(1991)あたりを薦めるけど(20枚のアルバム、どれもクオリティは高い)これが最高傑作なのは疑いようがないと思う。

画家としても名高い彼女が手掛けるアルバム・ジャケットも素晴らしい、これほど中身の音をうまく表しているものもそうは無い。アルバムの音世界を、どこまでも続く広々とした空間を乾いた風が吹き抜けていく、聞いているとそんな光景が浮かんでくる。今年最期に紹介したのはそういうレコード。 それでは、みなさんよいお年を。来年もつづくか?
 

キシタケ(2003.1.18)※執筆は12/31

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デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部