その27 |
『The Bluebird Recordings 1939-1942』 1997 Tommy McClennan |
2月、まるきりダメでした。ミョーに盛り上がった1月の反動がきたのか、調子ワル。書く気まるで起こらず。今日もウツだった、昨日もウツだった、明日もウツだろう、とか書いてるとまるで「オヅ日記」なんでパスした次第です。 こういうナーヴァスな時ほど、ガツンとくるようなヘヴィーなロックが聞きたくなる。ここで言うガツンとかヘヴィーっていうのは、物理的に音がデカいとか音数が多いとかを意味してないです。口当たりはソフトなポップスでもガツンとくるものはくる。要は音に込めたガッツといいますか。昔、山下達郎さんがそう話されていたのを覚えている。 ヌルくてユルい音なんかイラついてしょうがなく、本気で気分が悪くなってくる。 そおゆう意味でもJUMBOの2回目のライヴは良かったです。贔屓の引き倒しじゃ勿論ない。前回は遠慮も感じられたベースとドラムが深く絡むようになってボトムの重心が更に低くなり、その上を池上のギターが飛ばす飛ばす(結構酔ってたようだけど、だからか?)。その音のいちいちがガツンガツンときて、体が洗い流されるように軽くなっていった。 録音物がないのが残念、今のところはライヴに来てもらうしかない。池上によると近日中に乞うご期待ってことらしいけど? これからも、しつこくライヴ告知やります。 ウチに帰り、余韻に浸りながらまた酒を飲む。ライヴをMDにでも録音しとけばよかったなと後悔。変わりといってはナンだけど、ヘヴィーでガツンとくる(今回はこればっかしだな)アメリカはミシシッピー生まれのカントリー・ブルーズ・マン、トミー・マクレナンを聞く。 とにかく荒っぽい。アクースティック・ギターの弦をしばき倒すようにかき鳴らし、酒と女が主役のブルーズを怒鳴る。それは極めて直情的で、心に浮かぶよしなしごとなのか、腹に溜まっていく汚濁やシニシズムなのか、そんななんやかやを(正にブルーズを)喉の奥からぶちまけ吐き捨てていく。楽器編成は大低のカントリー(田舎の)ブルーズがそうであるように、マクレナン一人でやってるかベース奏者が付いてるかなのに、パンクもヘヴィー・ロックも吹っ飛ぶこの音圧。ズキズキと五臓六腑に響くんでさあ。やっぱしガッツやね。これで厳しい2月をなんとかやり過ごすか。 このレコードはタイトル通り1939年から1942年にかけて、ブルーバード・レーベルに吹き込まれたマクレナンが生涯に残した全ての録音、全部で42曲。手に入り易いハズですが、輸入盤のみの2枚組CD。さすがにオススメとまでは言いませんが・・・・・、ヨイです(小声でつぶやく) 1930年代前半の大恐慌時代のアメリカ南部を舞台にしたコーエン兄弟の映画『オー・ブラザー』に、トミー・ジョンスンというブルーズ・マンが出てましたが(この人は実在の人物で、録音も残っている)、その時代のブルーズ演奏家のほとんどがー録音の機会があった者も無かった者も、有名だった者もそうでなかった者もーあんな風に南部の町々を渡り歩き、酒場や街頭でブルーズを演奏し金を稼ぐ、そういう生活をしていたのでしょう。 マクレナン自身はこの録音から十数年後、北部の町シカゴに流れつきそこで亡くなったと言われています。 ほんと、レコード(記録)って言い得て妙だなと今更ながら思う。 |
キシタケ(2003.3.21)※執筆は3/15?
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