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キシタケ音楽四方山噺
 その33

『Forty Licks』
『Sneakin' Sally
Through The Alley』
1974
Robert Palmer



『Addictions volume2』
『Addictions volume2』
1992
Robert Palmer
ロバート・パーマー氏が、9月26日パリでの休暇中に心臓発作のため亡くなった。54才。
若すぎる。余裕の最新作『DRIVE』を出したばかりだというのに。
ロックの歴史も50年以上になるから、故人の追悼記事を書き出したらそれこそキリがなくなるので避けてたのだけど、この人のことは書かないわけにはいかない。

新聞記事の扱いも小さくてまた悲しかったけど、イギリス生まれの(子供時代はマルタ島で暮していたという)ロック・シンガー、ロバート・パーマーという名前は30代の人間には意外によく知られている気がする。
最近になって突如復活した「ベスト・ヒット・USA」を草分けに80年代はプロモ・ビデオを流すテレビ番組が結構あって、洋楽がお茶の間(死語)的にも身近な時代だったのですよ。
印象的なビデオ・クリップは今でも憶えてるけど、ロバート・パーマーの『恋におぼれて』(1986)は多分、今見てもかなり笑えるんじゃないかな。モデル風のキツいメイクをした女たちがヤル気なさそうにバンド演奏の当て振りをする中、一人パーマーさんが真面目に歌っている。
ビデオのアイディアをパーマーさんは全く気に入ってなかったらしい、でもこれが見事にウケて曲も全米No.1。
60年代の終わり頃からいくつかのバンドを渡り歩いた後、70年代半ばにソロ・デビュー。クオリティの高いレコードをしょっぱなから連発してきた人なのだけど、アフリカ音楽やカリビアン音楽、ソウル・ミュージックからニュー・ウェーブ・サウンドまでと幅広い音楽向が災いしてか、あくまでミュージシャンズ・ミュージシャン(ミュージシャンが好きなミュージシャン)知る人ぞ知る通好みのシンガーというイメージだったのが、この特大ヒットでそれが一変。世間もそうだったけど本人が一番ビックリしたんじゃなかろうか。なかなか痛快な話ではありましたね。

個人的にはその頃のレコードも印象深い(80's特有の音が微笑ましい)、でもやはり彼の最高傑作はデビュー・アルバムの『スニ‐キン・サリー・スルー・ジ・アリー』でしよう。
バックを主につとめるのがニューオリンズ最強のファンク・バンド、ザ・ミーターズ。見事なスライド・ギターを聞かせるのが、当時アメリカ最強のロック・バンドだったリトル・フィートの故ローウェル・ジョージ。ふつうなら
主役を平気で食いにかかる猛者を相手に、パーマー氏はイギリスでも一、二をいくだろうソウルフルな歌唱で渡り合う。うーんカッコいい、カッコいいレコードだ。
聴きなおして、泣いた。英国の伊達男ここにあり。
渋いカヴァー曲も入った、初期の曲中心のコンピレーション盤も載せておきます。

感傷的ではある、でも人の死に接するといつも思う。人は自分の好きなことをやるしかないのだよ。

ROBERT PALMER
1949-2003

さようなら  ありがとう
 

キシタケ(2003.11.1)※執筆は10/26

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デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部