その46 |
『Musicology』 2004 Prince |
熊八「だ、誰 ?!」 弥壱郎「でかいよ声が、びっくりするじゃねぇか。俺だよ」 熊「壱っさん? な何で俺んちにいるんすか」 弥壱「電気つけるよ、パチとな」 熊「う、まぶし。夜中っすよ、いつ来たんすか人が寝てんのに」 弥壱「ここ角部屋だろ、風通しいいからウチんとこより涼しいんだ。ガキとヨメに挟まれて窮屈だしよ、だから来ちゃった」 熊「死ぬほどビビった」 弥壱「イビキかいてたから起こすの悪いと思ったんだ。ホラ、 差し入れカップ・ラーメン、食うか」 熊「いいっすよ、こんなクソ暑いのに」 弥壱「それにしてもヒドい寝グセだな、その頭」 熊「・・・・・・・・」 弥壱「・・・・・マサかワザとなのか、そのオバさんパーマ」 熊「ニュー・ヘアー・プリンス仕様です」 弥壱「・・・・・・・・・」 熊「・・・・・・・・・・」 弥壱「寝たの?」 熊「起きてますよ、目が覚えちった。酒でも飲んでプリンス聞きますか」 弥壱「いつもの展開だな。出来はどうだったのかって訊いて欲しいんだろ?」 熊「フフフフフ、まぁね」 弥壱「・・・・・・」 熊「寝ないでくださいよ」 弥壱「寝てないよ、ったくもったいつけやがって」 熊「そんなにおいそれと軽くは語れませんぜ、イッヒッヒッヒッヒッ」 弥壱「飲んでんのメチル・アルコールだろ、安いからってよくないよ」 熊「いまどきロシア人でも笑いませんよ、それじゃあ」 弥壱「ウルサい、この前の時は次回作期待大とか言ってたよな」 熊「完璧に期待に応えてくれちゃってましたよ」 弥壱「ふーん」 熊「あ、信じてない。間違いなく90年代以降では最上、今のプリンスに求められるモノを完璧に表現しきっていると言っても過言ではないですね。数年振りにメジャー・レーベルに復帰してヒットさせたし、気がつきゃ『パープル・レイン』20周年記念だったりするわけで、まったくプリンスって奴ぁ大の男を泣かしてくれますよ」 弥壱「鼻たらすなよ」 熊「巷では原点回帰と言われてますけどね。確かに時代からズレはじめたあたりから色々試行錯誤してスベッていた時代が長く続いてました。でも今やそれもこれも実となり、充実しきった『プリンス・ミュージック』として結実したという感じですよ。この音の清々しさ、絶対に昔の繰り返しじゃあない」 弥壱「ほぉー・・・」 熊「抑制をきかせた一音一音の彫りの深さ、たっぷりと音のスキ間を作った開放感溢れる音空間。前作のインストものは海の底を感じさせるような深く落ち着いた音像をみっちりと聞かせていたけど今回はまた違ってて、そういう音の空間の使い方が昔と一番違うところのような気がします」 弥壱「へぇー・・・」 熊「なんにせよプリンスの音楽に成熟とか円熟なんて言葉を使うようになるなんて思いもしなかった! 長生きはしてみるもんだよ、えっ聞いてます?」 弥壱「あぁ、まったくだ」 熊「ラストのあっさりした終わり方もニクい、期待させるじゃないの次を。え、お次はどうくるよ?インディーからまた違った趣向でくると予想するけどね。うんまぁ、その前に来日、ライヴだよ。想像しただけで鼻血ブー、高木ブ−。なに寝てんすか壱さん、ほらココ、ココが聞きどころなんだから」 弥壱「お願い、寝かして」 熊「オラオラそうはいかねぇ。やり始めたら止まらないプリンス大会はオール・ナイトさ! イェー、レッツ・ゴー・クレイジー! ってか。 先ずは78年のファースト・アルバムからいきまっせ!!」
熊「まぁ今晩はこの辺までにしといてやるか」 弥壱「信じらんねぇ」 |
キシタケ(2004.8.26)
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