O's Pageバックナンバー月刊文文掲示板前作品次作品
キシタケ音楽四方山噺
 その50

『Sail Away』
『Sail Away』
1972
Randy Newman



『Songbook,Vol.1』
『Songbook,Vol.1』
2003
Randy Newman


    セイル・アウェイ


   アメリカでは たべるにことかかない
   ジャングルを逃げまわり
   足を引きずらなければならないこともない
   キリストをうたいたたえ 一日じゅうワインを飲むのだ
   偉大なるかな アメリカ人であることは
   ライオンや虎もいない マンバ・スネイクもいない
   あまい西瓜とソバ菓子がある
   誰も彼もが幸福なことこのうえなし
   舟に乗りこめ、原住民どもよ・・・おれといっしょに旅だつのだ
 
   旅だつのだ・・・旅だつのだ
   おおいなる海原をこえて チャールストン湾へ
   旅だつのだ・・・旅だつのだ
   おおいなる海原をこえて チャールストン湾へ
   
   アメリカでは万人が自由
   家庭をもち女房子どもをやしなうのは
   モンキー・トゥリーのサルのように幸福なこと このうえなし
   みんながアメリカ人になろうとするだろう

   旅だつのだ・・・旅だつのだ
   おおいなる海原をこえて チャールストン湾へ
   旅だつのだ・・・旅だつのだ
   おおいなる海原をこえて チャールストン湾へ
   
                words&music by Randy Newman
                訳詞 三橋一夫


 「セイル・アウェイ」 アメリカン・ミュージックの至宝、シンガー・ソングライターのランディ・ニューマンが1972年に発表したアルバムのタイトル曲。
彼の作風を代表する、また彼の最もよく知られた曲の一つだろう(日本だと『トイ・ストーリー』シリーズの音楽が一番知られているのかな、やはり)

役者が異なる役柄を次々と演じていくように、ランディ・ニューマンは曲毎に様々なバック・グラウンドを持つ奇妙な主人公になり、辛辣なストーリーを哀感漂うメロディにのせ語っていく。
「セイル・アウェイ」の主人公は、アフリカ人達を船に押し込め、今まさにアメリカ大陸に向け出航しようとしている奴隷商人といったところか。

数年前テレビで、自身のピアノ演奏で「セイル・アウェイ」を歌っている模様を映していて、主人公がアメリカを賛美するくだりで多くの聴衆から笑い声が上がっていたのに、そういう風に受け止められているのかと妙に感心するものがあったのだけど。
それが今だったとしても、同じ反応だろうか。

昨年久々に出た新作『ソングブック Vol.1』は、数々の(一筋縄ではいかない)名曲たちをピアノ弾き語りで再演した作品集。
ロバート・デ・ニーロが熟成してマーロン・ブランドになったかのような激シブの傑作。
「セイル・アウェイ」も勿論収録されています。

 

キシタケ(2004.11.8)

O's Pageバックナンバー月刊文文掲示板前作品次作品
キシタケ音楽四方山噺 Copyright(C) 2004 キシタケ
デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部