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vol.11

新しいネットスケープ

 ようやくおかる裏日記の原稿を受け取って、ホームページリニューアルを済ませることができた。誤植やリンク切れなど細かい部分の間違いも目立ったけど、気がついたらすぐ直すようにしていたので、今ではだいぶ落ち着いてきたような気がする。それにしても、デザインが統一されているというのは実に気持ちがいい。まるで庭の草を全部むしったかのように爽快な気分だ。うーん、自己満足。
 しかし、リニューアル後、一つ問題が発生した。ネットスケープで正常に表示できないページがあるのだ。原因はあきらかで、ネットスケープがスタイルシートに完全に対応していないためである。かといって、スタイルシートを止めることはできない。デザイン統一にスタイルシートは欠かせないのだ。最近はIEのシェアがネットスケープを大きく上まわっているので、ネットスケープユーザーには申し訳ないが、涙をのんでもらうことにした。
 ネットスケープナビゲーターはスタイルシートの問題以外にも、描画速度の点などでIEの後塵を拝する結果になってしまった。私自身、以前はネットスケープを愛用していたが、いつのころだったかIEに切り替えてしまった。ネットスケープのシェアは下がりつづけ、しばらくバージョンアップもされていなかったが、最近になって一から設計しなおしたネットスケープ6のプレリリース版が発表された。ホームページもリニューアルしたことだし、新しいネットスケープで正常に表示されるかどうか気になったので、雑誌のCDからインストールしてみた。
 結果は良好である。Gekko というレンダリングエンジンを使っているとのことだが、スタイルシートも概ね正常表示されている。日本語の標準フォントがMS P明朝であることや、CGIのファイル名が表示されるなどいくつか気になる点もあったが、とにかく従来のネットスケープより表示が速いのが気に入った。起動も思ったより軽い。
 ネットスケープ6でもっとも目を引くのは、インターフェースが一新されていることだろう。スクロールバーやメニューまで自前のデザインに変更されている。Windows自体がデザインの基本としている「立体感」を逆に排除し、代わりに配色に細心の注意を払っている。配色などは“スキン”を変えることでどうにでもなるようだが、デフォルトの色合いは嫌いじゃない。ツールバーもボタンを[戻る][進む]など四つに絞っていて好感が持てる。サイドバーはIEのエクスプローラバーに対抗したものだろうが、上下に溜まるタブはどうかと思う。マック版IE5.5を雑誌で見かけたが、こちらはタブを右側に縦に並べていた。個人的にはIEのほうがかっこいいと思う(このサイドタブはO's Editorでもやりたいと考えている)。もっとも、ネットスケープのサイドバーも使い勝手が悪いわけではない。
 ダイアログのボタンなども立体感が薄められていて、ネットスケープの独自色を出そうと躍起になっているのがわかる。個人的にはボタンも完全に平面にして、クリックしたときだけ沈没するような形にしたほうがよいと思う。ネットスケープ6のクリック感覚は場所によってバラバラで、しかもクリック感そのものが中途半端な気がする。細かいことだけど、こういう「感じ」が、実はソフトの使い心地を左右するのである。
 さて、個人的に好評だったネットスケープ6だが、まだ常用するわけにはいかない。「落ちる」からである。ページを読み込んでいる最中に設定を変更したりすると、高い確率でお亡くなりになる。ま、これはβ版なので仕方がない。むしろ落ちて当然といえる。しかし、今後安定度が増しインターフェースがこなれてきたらどうか。私だったらネットスケープに鞍替えするかもしれない……そう期待させるプレリリース版であった。

おぬま ゆういち (2000.5.20)

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