O's Pageバックナンバー月刊文文掲示板前作品次作品


vol.13
−縁側の構想−

実況見分

前号で実況見聞と書いたが実況見分が正しいというメールをいただいた。あえて書き直さずに恥をさらしながら、今回ここで報告することにした。実害はないので大きな問題ではないが、筆者の不勉強を正すために、文章のバグ報告もどしどしお寄せいただきたい。

脳内開発へのご招待

さて、今回はソフトの話だ。そろそろ新おかるの妄想を頭の中で遊ばせ始めている。心臓部ともいえるデータ解析部分は現おかるの仕様を95%再現済みである。この部分が最も苦しいので、ここを通過すればあとは新しい機能の追加と新しいインターフェースの設計という楽しい作業が待っている(もちろん最後にバグ潰しという一番ストレスの溜まる作業が残っているのだが、モチベーションが下がるので今は考えないことにする)。
さて、以前ちょっと触れたのだが、昔のパソコン通信時代のオンラインソフト制作と膨大なインターネット利用者を対象にした現在では、作業工程における作者とユーザのかかわり方がずいぶんと変わった。ユーザとのダイレクトな意見交換によるソフトの設計、改良、バグフィックスは間違いなく作品の質を高めるものであった。私はその頃をある種のユートピアと感じ、それは二度と訪れないものだと決めつけていたのだが、最近その考えを改めつつある。私自身、パソコン通信からインターネット上のホームページへとソフトの開発拠点を移行するのにある程度の時間がかかったのだが、作者のそうした事情と、ユーザ自身もそういった環境の変化に対応するのに精一杯だったために、昔のようにソフト開発に一枚噛むというような場が提供されなかったのではないか?ここ数年は、作者もユーザもいわば民族大移動の時期であって、それが落ち着けば、ひょっとしたらあのユートピアが戻ってくるかもしれない……。本当に、ただなんとなくだが、そんな気がする。
そこで、だ。これから長い長い時間をかけて開発する予定の新おかるは、O's EditorやO's Addressのような密室の開発(まさに地下工作!)ではなくて、作者自身の考えや迷いを白日の下に晒しながら、ユーザを巻き込むような形でやってみようと思う。もちろん、パソ通時代そのままの状況にはならないだろうが、作者とユーザの接触によって少しでもソフトが磨かれるかもしれない。そんな期待を持っている。
具体的にこのように進めるというプランがあるわけではないが、とりあえず、このコーナーで私の脳味噌をあからさまにし、掲示板でその反応を待つ。さらに、具体的にAかBか迷った場合は、CGIを使った投票ページを設けてユーザ自身に選んでもらう。まったく反応がないかもしれないが、それはそれでいい。ここで私の逡巡を知っていただくだけでも、ただ闇雲にダウンロードして使うよりは、ソフトをよりよく味わってもらえるに違いない。
脳内開発にしばらくのあいだお付き合いいただきたい。

まずはルックス

私の濁った脳味噌の中身は、素晴らしい発見から独り善がりのゴミアイデアまでまさに玉石混淆のカオス状態。それらを自由に遊ばせながら、良いものと悪いものにわずかな偏りが発生する。この「ゆらぎ」によって良いアイデアが次第に大きくなっていくのを待つのが、私のソフトの作り方。ここ数日、カオスの水面に浮かんできているのは、ソフトにとって最も重要な「顔=ルックス」について。今回はルックスについての茫漠としたアイデアに小石を投げ入れて、出現する波紋を眺めてみよう。

私の中での最先端のルックスはO's Editorだ。O's Editorではほとんどのダイアログをエクスプローラバー型に統一した。この「縦バー型」を採用してから数ヶ月を経経たが、細かい点を除けば特に不便もなく、概ね成功と考えている。縦バー型の良い点は、複数のダイアログを1ヶ所に集中することによってデザインがシンプルになることと、ダイアログとメイン部分(O's Editorならテキストを表示する場所)が重ならないので、二つを連携させる使い方をしやすいこと(例えば検索一覧から本文ジャンプ、スタイルの変更をリアルタイムに反映、など)だ。とにかく繁雑になりがちだった各種ダイアログを1ヶ所に統一できるメリットは大きい。新しいおかるはどうしても「多機能=複雑な操作体系」になるに違いないので、縦バー型にすることで見通しをよくしたい。縦バー型の採用はまず間違いないだろう。

縦バー型には「グループ」「フォルダ」「検索」「フィルタ」「印刷」などが備わる予定。グループとフォルダは統一されるかもしれない(このあたりはデータ構造≠ニ題していずれまた……)。あと、カレンダーと時計もバーにしようかと考えている。現おかるではカレンダーと時計を含めて全体をカスタマイズしたものをページとして切り替えることができるようになっているけれど、どうもカレンダーと時計はページごとにデザインを変えるということはあまりないように感じている。むしろすべてのページの時計のデザインを統一するのに苦労するデメリットのほうが大きい。そこで、カレンダーと時計をバーに移せば、すべてのページに同じ時計を表示することになるので、デザインの統一作業という問題は生じないし、表示非表示もページにかかわらず必要性に応じて選択できる。……と書いていてちがう問題が生じた。バーには「スケジュールのプロパティ」も加えようと考えていたが、時計やカレンダーをバーに組み込んでしまうと、「時計のプロパティ」と「カレンダーのプロパティ」の行き場所がなくなってしまうではないか。うむむ、やはり時計とカレンダーはバーから外すべきか……。行き詰まったので、この件は先送りとしよう。慌てて決める必要はない。少し時間を置いてからふと思い出せば、いきなり解決策が見つかることもあるのだ。

これが(汚いけど)新おかるだ!

新おかるラフスケッチペイントを使って新おかるのラフスケッチをハンドフリーで描いてみたので公開する。ずいぶん汚い絵だが、原形はなるべく醜いほうが完成品がより美しく見えるのでむしろこのほうがよい。バーの横にスケジュールがあって、暦(現おかるのスケジュールの上にある日付に関する情報を表示する部分)についてはまだどうするか決めていない。右図のスケジュールの上にあるタブは現おかるで言うところのページタブである(ページ≠ニいう名前をやめてO's Editorと同じスタイル≠ノするかもしれない)。描いたあとで思ったが、タブはやはり下のほうがよいような気もする。

ところで、掲示板(現おかるのスケジュールの下にあるToDoやメモなどを表示する部分)は廃止しようと考えている。では右図のスケジュールの下にあるデータの詳細≠ヘ何かと言えば、データのプロパティ(日付やメモ、関連ファイルなど)を切り替えて表示する部分である。新しいソフトの全体像をいろいろ考えたが、最終的に行き着くのは「フォルダなどのグループ」「グループに所属するデータの一覧」「データの詳細」という三段階である。メールソフトなどによく見られる画面構成なので特に新しいものではないが、オーソドックスである分いろいろと応用がきく。新おかるはこれで行こうと思う。現おかるの掲示板はデイリー、メモ、ToDoという三つの枠並べているのだが、それぞれ全く関連性がなく、一覧できるメリットがあまり感じられないように思われる。特にToDoは「日付がない」ということで独立させて表示するようにしたのだが、むしろスケジュールとは別に表示されることで見落とす可能性が高まっているような気がする。デイリーは表示しきれないデータも見れるという利便性は否定できないが、結局スケジュール欄と表示が重複しているわけであり、スペースの無駄とも言える。この二つは思い切って捨ててしまおう。ToDoはスケジュール欄に通常のデータと一緒に表示させればよい。必要ないものは未練を残さずに切り捨てなければならない。これからは多機能ではなくて必要十分機能の時代だ! となると、残るはメモだが、メモ欄は日記での使用も考えると外せない。そこで考える。この部分はデータの詳細として、これまで独立したダイアログに表示していたデータのプロパティを組み込む。データのプロパティにはメモも含まれるので、タブでメモに切り替えればメモ欄として今までと同じように活用できる。よしよし。これで掲示板を駆逐して、この部分はデータの詳細として統一することができる。見た目も画面も、そして操作体系もシンプルになった。さらに「データの詳細」というキーワードからアイデアがわいてくる。例えば関連ファイルをそのままこの部分に表示してはどうか。関連ファイルがテキストや画像だったら、表示させることはそれほど難しくない。つまりスケジュール部分の「今日の画像」というデータをクリックすると、すぐに画像を見ることができるわけだ。デジカメ画像をスケジュールに登録するというのはどうか。テキストファイルは見るだけでなく編集することだってできる。「原稿〆切」というデータをクリックすると「データの詳細」の部分に原稿が表示され、そのまま執筆作業に入る。もちろんここにはO's Editorのサブセット版が組み込まれる。HTMLもIEコントロールを使えば表示できるだろう。「今日の番組表」というデータをクリックすると、インターネットから関連URLを読み込んでテレビの番組表を表示する。今後は常時接続も一般的になるだろうから、インターネットとの親和性は重要になってくるに違いない。ふむふむ、いいぞいいぞ。

今回は「データの詳細」という将来性のあるアイデアに恵まれた。このアイデアは伸びる。勘だが、確信に近いものがある。

意見を待つ

今後、新おかるに関する構想をとりとめもなく書いていくわけだが、やはり一つの脳味噌では限界がある。ぜひ皆さんの意見、提言で私の脳味噌をチクチクと刺激してほしい。おかる掲示板で待つ。

おぬま ゆういち (2000.8.11 岩間にて)

O's Pageバックナンバー月刊文文掲示板前作品次作品
アンダーグラウンド(地下工作) Copyright(C) 2000 おぬま ゆういち
デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部