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vol.15
−秋深し−

最近のこと

サッカーのアジアカップも終わって11月からさあ本業開始だ!と身構えていたら、当てにしていた仕事が春に延期となってしまい、しばしの失業状態となってしまった。あざらしが珍しく仕事で忙しいので、子守りでもしようかと思う。初めは子供より私のほうがはしゃいで遊んでいるが、そのうち飽きて疲れてしまい、子供をほったらかしにしてスカパーでサッカーを見始める。泣き出した子供が廊下を駆け出し、遊びをせがみにパソコンに向かって仕事をしているあざらしに駆け寄る。仕事が行き詰まってイライラしているあざらしは頭を抱えて椅子から立ち上がり、泣く子を片手で抱え上げて廊下を渡り、テレビを見ている私に放り投げて帰っていく。……最近はこのパターンの繰り返しとなっている。やっぱり子供が起きているあいだは、子供が主役ということか。仕方がないので私はあざらしも子あざらしも寝静まった深夜にパソコンに向かうことにした。この時間だけは私が主役。ウフフフ。インターネットでパソコン情報やサッカー情報を漁って(ときどきエロサイトにも寄り道して)、そうして気分が乗ったところで新おかるをチビチビと作っている。それでは久しぶりに開発状況なぞ書いてみようか。

新おかるのこと

今やってるのは土台作り。最終的なソフトの形を想像しながら、この先どんな設計変更にも絶えられるよう柔軟性を損なわないように基本部分を作っては壊し、壊しては作っている。第一弾のデータ解析についてはだいたい完成していて、第二弾として現在進行中なのはスケジュールの表示部分で、まったく一から作り直している。最近、ようやく現おかると同程度の表示ができるようになった。もちろん、見た目は同じだが中身は全くの別物である。テスト的に公開したいところだが、現段階では「なんだ変わってないじゃん」といわれるのが落ちなのでやめておく。でも、(しつこいようだが)中身は全然違うのだ。

まず、O's Editorの経験を活かして「WYSIWYG」を実現している。つまり、編集画面、印刷プレビュー、印刷結果がすべて同じイメージになるわけだ。ただ、編集画面で用紙イメージを表示することは、スケジュールソフトではあまり意味がないので、新おかる完成時にWYSIWYGを謳うことはしないつもり。新おかるにとってのWYSIWYGは「正確な印刷プレビュー」のためのものと考えている。それとキーカスタマイズができることを前提に設計している。これもO's Editorの経験が活きている。

WYSIWYGやキーカスタマイズ以外ではまだ目立った新機能追加はしていないが、細かい部分でいろいろとブラッシュアップを図っている。例えば、現おかるのスケジュール表示部分は、特にYearlyなどブロックの多いページで右と下の部分に無駄な余白が生まれている。これは、画面領域を各ブロックに均等に割り振ったとき、割り切れなくて余った部分をしかくなくグレー表示しているものだ。新おかるではこの余りの部分もブロックに割り振って無駄なスペースが生じないようにしている。これによって、ブロックの大きさが微妙に違う場合が発生するがその差はわずか1ドットなのでまったく気にならない。それから、これまで枠に表示しきれないアイコンははみ出して描画されるのを防ぐため一切描画しないようにしていたが、新おかるではアイコンの一部分を描画するようにして、枠内最下行データのアイコンが表示されないという不自然さを解消した。さらには、カーソル枠や今日枠などの立体枠を表現するのに、現おかるでは白とグレーで画一的に描画していたものを、枠の色からハイライト色とシャドー色を計算して自然な立体感を実現した。……とまあ、そんな細かいところ誰も見てないかもしれないが、そういうディテールが実はソフトの使用感を決定しているのだという持論があるので、土台の段階から細部には気を使ってプログラミングしている。

おお、そうだ。要望の多かった「私休日の背景色を赤にしたい」については、すでに実装済み。私はフリーの身なので休日もクソ(失礼)も無いのだが、世のサラリーマン諸氏はカレンダーを赤く染めたい欲望に駆られているようで、この要望はDOSの時代から数え切れないほどいただいた。やっとそれが実現したことになる。

さて、スケジュール表示部分が現おかるの仕様に近づいたので、今後は難しい新機能の実装に取り組むことになる。「難しい新機能」の最右翼は矢印表示だ。これもたくさん要望をいただいているのでぜひ実現させたいのだが、おかるにとって矢印は一筋縄ではいかない難敵といえる。おかるはカスタマイズによって表示形式を千変万化させることができることが最大の特徴なので、矢印もその変化に完全に対応させなくてはならない。だから矢印は横にも縦にも対応しなくてはならない。また、矢印を表示すべき部分には他のデータが様々な文字の大きさで表示されており、それらのデータはきちんと矢印を避けて表示されなくてはならない。考えただけでも憂鬱になる。でもやらなくては。なにしろDOS版でも矢印表示はしていたのだ。

難しい新機能で実装するかどうか迷っている機能が一つある。それは「土日を一つの枠に」というものだ。土日休日に予定がほとんどない人にとって画面効率が高いこの形式は、アウトルックも採用している。私も時々要望をいただくが、今やるべきかやらざるべきかまさに分岐点に立っている状態だ。やるなら土台作りの今のうちにやらなければ手遅れになる。ただ、やるとなるとかなりの難産になることは目に見えている。これも矢印と同じなのだが、アウトルックのように決まり切った表示形式ならともかく、おかるでこれをやるとなると、当然土日だけではなくあらゆる曜日で枠を分割できるようにしなければならないし、さらには枠を二分割だけでなく、三分割四分割……いや無制限に分割できなければダメだろう。……ふう。また頭が痛くなってきた。もちろん要望が多ければやらねばなるまい。しかし、それほど需要があるのだろうか。当然のことながら、休日もクソ(失礼)も無い私には無用の機能である。でもサラリーマン諸氏にはやはり便利なのだろうか。んー、わからん。(※この件についてはぜひ掲示板に意見をお寄せください)

選ばれるかどうか瀬戸際の骨髄のこと

前号のアンダーグラウンド(地下工作)で書いた血液検査の結果が通知された。これは、ドナーとして選ばれたかどうかではなく、あくまで血液検査の結果のみを知らせるものである。気絶してまで採血したので当然合格だろうと思ったら、一つの項目に引っかかってしまった。検査結果の一覧表を見てみると「ニョウソチッソ」となっている。こいつが基準値より高いのだ。といっても何がどうダメなのか私にはさっぱりわからない。ニョウソといえば最近ハンドクリームによく使われている尿素となにか関係があるのだろうか。尿素ってやっぱり尿の素なのだろうか。でも、尿の素を手に塗るのはいかがなものか。

しばらくしてK先生(誰だかわからない人は前号参照)から電話がかかってきた。ニョウソチッソが高い原因としては、腎臓が悪いか、たまたまその日水分が不足していたかのどちらか。ただ腎臓が悪い場合はもう一つの項目も悪くなるはずなのでなんともいえない。とにかく、もし仕事に差し支えなければもう一度採血をしてほしいとのこと。腎臓が悪いと聞いてちょっとドキッとした。うちの家系は腎臓が弱い。そもそも父が腎臓癌で死んだばかりだ。でも、こないだ超音波検査してもらったときはきれいな腎臓だといわれたしなあ。ともかく、もう一度採血だ。また気絶か。はー。いや、今度は大丈夫だ。気持ちの準備もできている。前回は35ccという予想を越えた血の量に、ほんのちょっとした心の隙を狙われたのがいけなかった。同じ轍は二度と踏まん!

とまあ意気込んで前回と同じ某国立大学病院に行ってみたら、今回は15ccといわれてほっとした。検査項目が少ないので量も少なくてよいそうだ。しかし、念のため気合いを入れて慎重に腕に刺さる注射から目を逸らした。血のことはなるべく考えずに、娘のことなど考える。今ごろ昼寝をしているだろうか……。ほどなく注射が抜かれて採血が終わった。注射が怖くてわざわざ娘のことを考えねばならぬなど、われながら情けないが、まあ念には念を入れてのことだ。たかが15ccの採血とはいえ油断はならない。わずかな油断が気絶を招く。

当然のことながら、前回のような骨髄移植の詳しい説明などもないのであっという間に終了。今回はコーディネーターの方も同行せず、私一人で病院に赴いた。交通費は郵送された請求書で請求することになっている。

K先生は血液検査をするだけなので、現在私がドナー候補として選ばれる可能性についてはまったくわからない。ただ、採血のやり直しをするということは、まだ候補としては残っていることは間違いないということだ。いずれにせよ、近いうちにドナーとして選ばれたかどうかの最終決定通知が来ることになる。次号で結果について報告できるかもしれない。

おぬま ゆういち (2000.11.8 岩間にて)

 (※ 財団法人骨髄移植推進財団のホームページ http://www.jmdp.or.jp/

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アンダーグラウンド(地下工作) Copyright(C) 2000 おぬま ゆういち
デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部