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ロビ太の脳味噌しぼりたて!
No.2

第1回
〜千葉すずの明日はどっちだ!? PART.2〜

オリンピック種目にあるようなスポーツは、大抵「連盟」だとか「協会」だとかがある。これが実際、古くて歴史のある競技ほど、連盟が実権を握って猛威を奮っていたりする。(ちょっといいすぎ??)
みなさんの記憶に新しい例が、つい先日の女子マラソン選考に於ける陸連つまり「日本陸上競技連盟」の権力である。この選考もかなりの大騒ぎだったなあ。

陸連の秘蔵っ子市橋有里(女子マラソン代表選考騒動=女子マラソンの出場枠は3人。まず真っ先に世界陸上で銀メダルを獲得した市橋有里が代表内定。その後の国内3レースから2人を選出することになったが、1レース目の東京国際マラソンで新鋭・山口衛里が世界歴代6位というすんごい記録でぶっちぎり優勝(オリンピックのメダル候補の外国人選手に5分以上の差を付けた。しかも東京国際のコースは起伏の多い難コースで、記録が出にくいと言われていた)この快挙で2人目の出場選手は決まった様なものだった。そして2レース目の大阪国際マラソンで、トラック種目の女王・弘山晴美が2位ではあるものの、世界歴代9位のタイムでゴール。そのレース内容は評価できるものであった。さて、ここで問題勃発。国内選考の残り1レースには、日本記録保持者の高橋尚子が出場する。彼女はもう人間とは思えない速さとスタミナの持ち主で、優勝することはほぼ間違いない。すると、高橋はその実績も併せて確実に代表に選ばれるだろう。ということは、山口か弘山のどちらかが代表から漏れる・・・・あれ、でもまてよ??国内選考レースは3レースと言っていたのに、一番始めに内定した市橋は、国内選考で走ってないのに代表に選ばれたわけ???しかも、その時のタイムは、山口・弘山よりも5分近く遅いタイムじゃないか!なぜ市橋が選ばれて、山口・弘山の内の1人が落とされるの?好タイムを出しているのに・・・と、市橋が反感を持たれまくる羽目に(市橋は何も悪くないのにねえ・・・)結局弘山が落とされ、市橋・山口・高橋の3人が代表となった)

とまあ、これが「女子マラソン代表選考騒動vol.3」なのであった。なぜ「vol.3」なのかというと、実はバルセロナでもアトランタでも全く同じ騒動があったからなのでした。その時代表漏れして泣いたのは松野明美と鈴木博美。なぜだか両方共で選ばれて国民の反感をかったのが有森裕子であった。しかし、有森はその反感をはねのけ、見事バルセロナの銀/アトランタでは銅メダル!有名な「自分をほめてあげたい」発言となったのである。こうなると国民なんていい加減なもので、手のひらを返したように有森を英雄として祭り上げてチヤホヤしちゃったんだけどね。
とまあ、アトランタといい今回といい、代表選手を決める権限を持ち、毎回懲りずに国民や選手の反感をかっているのが陸連なのである。今までは結果的に有森が頑張ったので陸連はホッと胸をなで下ろしてこれたけど、次はどうか。今回なぜだか選ばれちゃった市橋は、実は陸連の秘蔵っ子。他の選手はそれぞれの企業に所属する選手なのだが、市橋だけは陸連が直接指導するクラブの選手なのである。そのため、当時関係者の間では「陸連の秘蔵っ子が世界陸上で結果を出したから、嬉しくなって内定出しちゃったんじゃん」と、ひいき説が流れた・・・(これはテレビの女子マラソン騒動の特集でもあまり触れられてなかった。)実際、世界陸上のレース前には、ここでメダルを取った選手に内定をだす、ということは言われていなかったため(参考にするとは言われていたが)、誰もシドニー五輪の代表選考とは思っていなかったのだ。それなのに終わってみたら世界陸上が代表選考会の一環に早変わりしていて市橋の内定が発表された。しかし「内定」ってことは「決定」じゃないって事だから、市橋が代表から外されることもあるのだろうか??と思っていたら、騒動の最中に陸連のお偉いさんが「内定がくつがえることは無い」と明言しやがった。
なら最初から「決定」って言えよ、という感じだ。

陸連といい水連といい、なんだか勝手によくわからん理由で権威を傘に代表を選んでいるという印象は拭えない。実際、陸連の権力は強いようだ。例えば、かつて某陸上選手に取材を依頼した所、陸連からはOKをもらったが、選手本人からNGを出された。「まあ本人がイヤならしょうがないかー」と思っていたところ、陸連がゴリ押し。「陸連がエエゆうてんからエエやんか」とまあ、関西弁で脅したかどうかは知りませんが結果、取材OKとなったわけです。陸連、ありがとう・・・って、そうじゃあなくて、そういう強行はままあるらしいという話。・・・余談だが、その取材は練習の撮影を10分ほどした所で「用がある」といって逃げられ、ほとんど撮影できなかった。実は用なんて無くて、隠れて他の場所で練習してたらしい・・・。でも形だけでも取材を受け入れれば、陸連のメンツをつぶすことにはならない。はー・・・選手も大変だあね。

なんかそうなってくると、ホントに選手としては「余計なこといえないな」ってところがある。下手に反発したらどうなるかわからないというか。千葉すずは、その良い例だ。だからこそ、今回の裁判には千葉に勝って欲しい。選手が言いたいことも言えないまま、連盟のなんだかわからん判断で全てを決められるなんてどうかと思う。オリンピックを目指す選手達は、4年間ずーーーーっと練習してるわけだ。我々はオリンピックでしか見てないけれど、彼らは4年間ひたすら練習してるのだ。そんで駄目だったらまた4年間の修行・・・気が遠くなる。4年間って本当に長いよな。少なくとも、自分には絶対無理。頼まれても無理(誰も頼まねーっつの)。その何年間もの努力が、連盟の言葉一つでチリとなるわけだ。やるせないね〜。そりゃあ記録が悪けりゃ、努力を主張したって駄目だが、千葉の記録は充分出場に値するものでなんだからさ。

陸連の秘蔵っ子市橋有里日本もいっそのこと、アメリカみたいに一発選考にすりゃあいいんじゃないか?アメリカは単純でいいぞー。マラソンも一発選考、候補者をいっぺんに用意ドンで走らせて、速かった人が代表決定!オメデトー!てなもんだ。
実は、日本の男子マラソンでもかつて一発選考をやろうとしたことがあるのだ。時は1988年ソウルオリンピック。その年のランナーを見渡すと甲乙付けがたい選手が揃っていたため、陸連は選考の混乱を避けるためにあらかじめ手を打った。それが「代表を目指すものは福岡国際に出場するべし」というお触れ、つまり一発選考である。これが成功していれば今のマラソン選考騒動は起こらなかったかもしれない・・・そう、この作戦は大失敗に終わったのだ。なぜなら、あの瀬古利彦が福岡国際前に怪我をしてしまったからなのだ!瀬古といえば、男子マラソン界のヒーロー。走るところ負けなしの瀬古は、代表入りが確実視されていたいわば本命馬。その本命馬が一発選考レースに怪我で欠場・・・慌てた陸連の発表は「瀬古に関しては4ヶ月後のびわ湖マラソンでいい結果を出せばOK」というものだった!!結果、一発選考であったはずの福岡国際では2名だけが選出されることになり、あとの1人は瀬古の結果待ちということに・・・これに他の選手は大激怒!そりゃあたりまえだ。特に中山竹道選手がマスコミを通じて瀬古に言ったコメントが熱い!「オリンピックに出たいなら、這ってでも福岡に来いっ!!」くはあ〜〜かっこええ・・・
でもって結局、福岡国際では怒りのあまり激走してぶっちぎり優勝した中山と2位の選手が選ばれ、瀬古はびわ湖マラソンで超平凡なタイムで優勝、代表の座をものにした。しかし彼らは選考会やら騒動やらで力つきてしまったのか、五輪本番では中山4位・瀬古9位・もう1人が11位に終わり、メダル0に終わったのだ。う〜〜ん。これも本末転倒な話だな。でも個人的に、中山が瀬古より速かったことに一安心。良かった良かった。(さらにつづく)

ロビ太(2000.7.26)

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イラスト: ロビ太
デザイン: おぬま ゆういち
発行: O's Page編集部